花、既に過ぎる

遠くにぽっと雲がもえ
あさい、やわらかな葉いろが流れ
しっとり、肩にかからうといふ
髪のいろつや、うしろ姿に
きらきら、清き川、しかもあやめの川
うす赤い、木立の穂先が
ほやほやと日にたけて
これは又、青いたたみの上に横になる
きみは、川、うつくしき川
よき野の匂ひをたべて
うすい貝母のやうに
ゆらゆらと春が身に応へる
青い狐…。

佐藤惣之助 詩「花、既に過ぎる」

大好きで幾度も書いている詩を 金彩墨にて版画用紙に
どこかで展示させていただきたいと思います